芝浦工大 IHIプログラム 新たな学びへ高大交流

芝浦工業大学が毎年、国内や海外から高校生を招き、大学生と研究や実験に取り組む独自の研修プログラムを開いている。高校生には理工系分野の学びに関心を深めてもらう一方で、大学生には英語力やリーダーシップを鍛える場にするという狙いがある。

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芝浦工大豊洲キャンパス(東京・江東)で7月、「インターナショナル・ハイスクール・インターンシッププログラム(IHIP)」が開かれた。今年は第7回を迎え、100人を超える参加希望者が研究テーマなどを提出した。選考の上、日本を含む9カ国25校から過去最多の61人が選抜された。2週間の研修は英語で行われた。

第1回からIHIプログラムを指導してきたムラリダ・ミリアラ教授は、国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」をキーワードに、「地球の未来のため、科学や技術が貢献できる役割を考えてほしい」と呼びかけた。

研究・実験テーマは材料、電気・電子、バイオなど専門的な内容ばかり。テーマごとに1~4人のグループに分かれて、芝浦工大の学部生や大学院生約130人が指導役になり、助言と議論を重ねた。

たとえば、ある高校生は金属の混合溶液から金属を分離し、レアメタルを回収する基礎を学んだ。別の高校生は床に書かれた線に沿って動く「ライントレースロボ」を組み立てて、線の色によって速度を変える実験をした。

最後の2日間、研修の成果をまとめ、一人8分間のプレゼンテーションに挑んだ。高校生は大学で先端技術に触れ、交流を通じて多くのことを体験した。

米国から参加したキャサリン・パナグリアスさんは「実践的で、新しい友人を作ることができ、楽しく参加できた。手を動かして学びたい人、文化体験がしたい人にも勧められるプログラムだった」と振り返る。

日本にあるインターナショナル・ハイスクールに通うリア・アンナ・マリエ・ラスキーノさんも「大学の研究機材を利用し、先端科学の知識を得て、将来、科学者やエンジニアになる刺激を受けた」という。

指導役で参加した大学院の修士課程2年、杉山潤さんは「英語のコミュニケーションの重要性と教えることの大変さを学び、普段ならできない経験を積むことができた」と強調する。 

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芝浦工大IHIプログラムを異文化で育った若者の国際交流の場と考えており、「学生には英語のスキルを高め、リーダーシップを学んでほしい」(国際部の杉山修部長)という。

近年、STEM(科学、技術、工学、数学)と呼ぶ分野の学びが重視されている。高校生の進学先は世界に広がっており「海外の理工系大学も高校生向けインターンシップに力を入れている」(ミリアラ教授)。

そこで芝浦工大は2020年10月、工学部に英語による専攻コース「先進国際課程」を新設する。最新の研究・実験ができる設備環境を整え、海外にも積極的に門戸を広げる。日本は18歳人口の減少に直面しており、IHIプログラムは世界の高校生に大学を知ってもらい、迎え入れるチャンスになる。

グローバル化」は大学改革を象徴するテーマの一つ。芝浦工大が育んできた国際交流は、言語や文化の垣根を越えた新たな学びのかたちを提案している。

編集委員 倉品武文)