フードバンク 資金難 余った食品寄贈、期待先行 複数団体が連携/行政も支援

余った食品を企業や家庭から提供してもらい、生活困窮者に届ける「フードバンク」。食のセーフティーネットとして期待が高まっているが、運営は苦しく、多くが資金難にあえいでいる。期待先行の面があるフードバンクを根付かせるためには、持続可能な支援の仕組みが必要だ。

「すぐに食料を送ってほしい」。ワーカーズコープちば(千葉県船橋市)が2012年に始めた「フードバンクちば」。連日、食料支援を求める電話やファクスが入る。菊地謙代表は「要請にはなんとか応えたいが、宅配便代もフードバンク持ちで運営は苦しい」と漏らす。「このままでは継続不能になりかねない」

15年に活動を始めたNPO法人フードバンク狛江(東京都狛江市)はイベントなどで住民に呼びかけ、余った食品を受け取る。それを市の生活相談窓口などを通じて毎月、生活困窮者世帯に届けている。

食品は無償提供だが、管理や仕分けにはお金がかかる。市からの助成は倉庫代わりのアパートの家賃補助だけ。田中妙幸理事長は年金で生活できるが「スタッフの人件費や事務所経費を賄う資金があれば」。困っている人を地域で助けたいと始めた活動だが、厳しい現実に直面している。

5月に成立した食品ロス削減推進法の施行を控え、フードバンクへの期待が高まっている。だが、フードバンクは理想だけでは続かない。苦境を乗り切ろうと、各地のフードバンクは対策を急いでいる。

公益社団法人フードバンクかながわ(横浜市)は3つの生活協同組合が協力関係を築く。合わせて年間1000万円の会費を負担。8つある物流拠点を活用して、生協の商品を運んだ帰りにフードバンクの食品を積むなど物流を合理化。80ある生協の店舗で家庭の余剰食品を集めている。

寄付文化が根付く米国と比べ、日本はフードバンクの運営費を寄付で賄うのは難しい。海外事情に詳しい小林富雄・愛知工業大学経営学部教授は「企業の支援が必要」と訴える。

多くのフードバンクが進めるのが、窓口の一本化など連携の強化だ。

福岡県では4つのフードバンクと生協などが「福岡県フードバンク協議会」(福岡県古賀市)を設立。食品の寄贈から受け取りまでを管理するシステムも来年4月に導入する予定だ。

認定NPO法人フードバンクふじのくに(静岡市)は、労働者福祉協議会、生協、NPO法人など県内の関係団体が集まり発足した。静岡県内の全市町と連携し、家庭からの寄付を受け付ける回収ボックスを県内の自治体やスーパーなど237カ所に置いた。鈴木和樹事務局次長は「関係者を巻き込むことで、それぞれが主体性を持って取り組んでくれる」と話す。

行政も乗り出す。前橋市は、NPO法人三松会が運営するフードバンク北関東(群馬県館林市)にフードバンク業務を委託。群馬県太田市は自らフードバンク業務を手掛ける。清水聖義市長は「現状では寄付も集まりにくいため、自ら取り組んだ」と語る。

食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんは「日本は欧米に比べ余剰農産物の活用が遅れている」と指摘。「万が一、食品事故が起きたときに寄付の提供者が免責される法律も整備されていない」と制度も含めた対策を促す。

フードバンクは食料支援にとどまらない。認定NPO法人フードバンク山梨(山梨県南アルプス市)は食品を送る箱にスタッフの手紙と返信用はがきを同封する。そこから生活困窮者の実態が分かり、福祉政策に生かせるという。米山けい子理事長は「フードバンクを新しい縁をつくる仕組みと位置付けてほしい」と指摘。行政の包括的支援を訴える。

(相川浩之 氏)