屋久島で地元杉だけの新庁舎完成、林業復興へ官民協定

 屋久島で唯一の地方自治体である屋久島町役場の新庁舎が、地元の杉材だけを使った木造庁舎として生まれ変わり、このほど完成した。町は7月19日、これを記念したシンポジウムを開き、荒木耕治町長は「この新庁舎を屋久島の杉材のモデルハウスとして島外の人に知ってもらいたい。杉の生産を増やし、島の林業を活性化させたい」などと抱負を話した。(オルタナ編集長・森 摂)

 

屋久島町役場は一部2階建て。事務棟、窓口棟、フォーラム棟、議会棟の4つの棟で延べ床面積は3630平方メートルだ。建築材はすべて屋久島産の「地杉」で、原木2000立方メートルを使った。

 

屋久島は樹齢数千年の「縄文杉」で有名だが、今回、町役場の建設に使った地元材は樹齢50年程度で、戦後の全国一斉植林で植えた「地杉」だ。戦後の国産材の需要低迷のほか、離島のためコスト高になりがちなため、今後のブランド化や生産・流通体制の強化が課題だ。

地杉の特徴は、抗菌や防カビ効果があるセドロールや、鎮静効果を高めるセスキテルペン、精油の含有量が内地材に比べて多いという。材質は硬くて強い、割れにくいなどの性質があり、色が黒い部分が多く、見ためが重厚だ。

荒木町長はシンポジウムで「木造の町役場だけ作って満足しているわけではない。例えば世界の自然遺産の関係者を集めて、世界的なイベントができるような動きにつなげていきたい」などと話した。

シンポジウムの後、町役場、屋久島地杉生産者有限責任事業組合(LLP)、全国の販売会社などによる「屋久島の森と生きる」共同宣言・協定を発表した。このスキームでは、共同で「屋久島森林ファンド」を設立し、木材販売1立方メートル当たり5000円を森林保全への直接的な支援に充てるなどの内容を盛り込んだ。

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